コロンビア大学のSIPA (School of International and Public Affairs)で、2023年秋学期に履修したコースの第二弾です。
今回はミクロ経済学です。アメリカの公共政策系の大学であれば、おそらくどこもそうだと思うのですが、政策立案に係る経済学及び統計学は非常に重要なコースになります。こちらの記事でご説明したとおり、だからこそ私も留学先としてアメリカを選びました。
基本情報
- コース名:Microeconomic Analysis for International and Public Affairs
- 単位数:3
- 分類(※):MPA Core Curriculum
- 講師:Emanuele Gerratana
- 評価方法:Attendance (5%), Quizzes (5%), Problem sets (10%), Midterm exam (35%), Final exam (45%)
(※)SIPAのカリキュラムについてはこちらの記事をご覧ください。
コース内容
講師のEmanueleの英語がイタリアン過ぎて聞き取りづらい上に、学生を置いてけぼりにする形で深すぎる内容を説明するので、今季の一番難しいコースでした。コースの主な内容としては、①Welfare analysis、②Consumer theory、③Producer theory、④Non Competitive Markets、⑤Externalitiesが挙げられます。
Welfare analysis
ざっくりいうと、需要曲線と供給曲線を使って、①消費者、②供給者、③税や補助金などの政策を提供する政府などのWelfareを分析するというのがこのトピックの至上命題でした。Welfareとは、要は上記①〜③のステークホルダーたちの幸せレベル(←私なりに噛み砕いています)です。このWelfareを分析することで、政府の介入が市場にどのような影響を与えるのか、つまり消費者、供給者、政府の誰がより幸せになれるかを理論的に理解できるようになります。
Consumer theory
ある消費者のPreference(好み)とBudget(予算)の情報を使って、その消費者が実際にどのような商品を選ぶのか分析する理論です。なんとなーく消費者が商品を選んでいるとしか思っていなかった自分にとって、それを理論的に分析するこのトピックはとても面白かったです。
Producer theory
供給者がある商品を生産する際に、どれだけの収益を得ることができるか分析する理論です。収益=収入ーコストで計算するのですが、収入及びコストの関数を求めることから始めるため、企業が大体どのように収益を予想しているのか理解することができました。
Non Competitive Markets
このトピックを勉強するまでは、基本的にCompetitive Markets(競争市場)であることを前提に学んでいたのですが、Monopoly(独占)やOligopoly(寡占)が市場価格にどのような影響を与えるのかを検証します。ご存知のとおりMonopolyやOligopolyでは価格が上がるのですが、それを理論モデルに落とし込むことで価格の上昇幅を予想することができるようになりました。ちなみに、このような理論モデルに落とし込むこと等により、実際にU.S. Department of Justice and the Federal Trade Commissionは企業合併を規制しています。
Externalities
環境汚染などの外部からの影響をExternalityといいます。ExternalityであるCO2(二酸化炭素ガス)による地球温暖化防止のために設けられたCarbon Trading System(CO2発生量の限度量を超えていない国が他国にCO2発生の権利を売ることができるシステム)が、社会にとって効率的か否か分析しました。これまでCarbon Trading Systemの効率性がわからなかった私としては、目から鱗のこのトピックが一番好きでした。
※これまでに書いた記事はこちらから参照いただけます※