コロンビア大学のSIPA (School of International and Public Affairs)で、2024年春学期に履修したコースの第三弾です。
今回は会計学です。
基本情報
- コース名:Accounting for International and Public Affairs
- 単位数:3
- 分類(※):MPA Core Curriculum
- 講師:Norman Bartczak
- 評価方法:Problem sets (21%), Midterm Exam (25%), Final Exam (54%)
(※)SIPAのカリキュラムについてはこちらの記事をご覧ください。
コース内容
コース名が"Accounting for International and Public Affairs"となっていますが、もはや"International and Public Affairs"は関係なく、一般的な(←SIPAに来るまで会計学を勉強したことがないので比較対象はありませんが)会計学のコースだと思います。講師のNormanは独特な性格で、英語もぼそぼそ話すため非ネイティブとしては聞き取りづらかったですが、ユーモア溢れる人物なので学生間の人気は比較的高かったです。
このコースは、Midterm ExamまでとFinal Examまでの講義で大きく2つの内容に分けられます。
簿記スキルの習得(Midterm Examまで)
まずは基本的な簿記の練習をひたすら行います。具体的には、Financial statement(財務諸表)であるBalance sheet(貸借対照表)、Income statement(損益計算書)及びCash flow statement(キャッシュフロー計算書)をイチから作成できるようになるまで練習します。Midterm Examは基本的にこれが全てでした。
初回及び2回目の講義では全くついていけなくて焦ったことを覚えていますが、慣れるとそんなに難しくないものであることがわかりました。また、このコースのRecitation(※)のTAがとても丁寧に説明してくれたので、会計学初心者の自分としてはとても有難かったです。ちなみに、日本人でない留学生は、結構この簿記の練習をSIPAに来る前の授業等でやっているらしく、そもそもRecitationに行かない学生が多かったです。
(※) Recitation:教授ではなくTAが運営する、その週に教授が教えた内容を復習するためのクラス。
経営分析スキルの習得(Final Examまで)
Midtermが終わった後の講義は、これまでと打って変わって経営分析の手法を学びます。内容としては以下のとおりです。
- Financial Ratios
- Expensing v.s. Capitalizing
- Loss Carryforward
- Valuation Allowances
- Quality of Earnings
- FIFO/LIFO/WAV
- Sale/Disposal of Property
かいつまんで説明すると、Financial Ratiosでは、Financial Statementから得られる数値を使ってReturn On Equity(自己資本利益率)などの主要な比を計算し、その企業の利益率や資産活用の効率性を検証します。Loss Carryforward(繰越欠損金)は、ある年度に発生した税務上の損失を将来の年度に繰り越し、その年度の所得と相殺することで税負担を軽減する制度で、これをFinancial statementにおいてどのように処理するかを学びます。Quality of Earningsでは、キャッシュフローと純利益、もしくはDeferred tax(繰延税金)とIncome tax(所得税)の各会計年度の推移を比較することで、その企業の経営状況がまずいことになっていないかを分析します。
Midterm前と比較して、「ただの簿記ではなく会計学を勉強している」という実感が得られたので、コース後半(Midterm後)の方が満足度は高かったです。日本に戻ってからバリバリ使うスキルという訳ではないのですが、企業の経営分析スキルを(少しは)身に付けられたことは、シンプルに世界が広がるという観点から面白かったです。
※これまでに書いた記事はこちらから参照いただけます※