アメリカ留学体験記 in NYC

Nagaです。コロンビア大学国際公共政策大学院で2023年9月から学生をしています。

2024年春休みの過ごし方 〜Los Angeles 旅行〜

コロンビア大学に限らずほとんどの大学でもそうなのですが、Spring Recess(要は春休み)があります。SIPA (School of International and Public Affairs)の場合、こちらのAcademic Calendarにあるとおり、2024年は3月11日から15日までSpring Recessだったので、3月9日から17日まで授業も宿題もありませんでした。この機会を活用し、妻と2人で初めてアメリカ国内旅行をしてきましたので、主な訪れた場所とともに、皆さんがおそらく気になるであろう支出と合わせて報告します。

Los Angeles (LA)

(野球は全く観てないのですが)LAに行ってきました。私の住んでいるニューヨークと比較すると、何より街並みがキレイで、日本人が多くいるエリアもあるので、圧倒的に住みやすいと感じました。実際、私が泊まったホテルは日本系列のもので、周囲には日本レストランがたくさんあり、味も日本で食べるのと変わりませんでした(ニューヨークでこのレベルのレストランを探すのは一苦労しそうです)

フライト

ニューヨーク(JFK)→ロサンゼルス(LAX)まで直行便約6時間のフライト。jetBlueという格安航空会社を利用しました。

大きなトラブルがあり、正直もう使わないかな、、という感じです。

往路

結論、到着が10時間遅れました。

着陸2時間前?あたりで「燃料不足のため急遽ラスベガスに着陸する」とのアナウンス。

現地時間昼過ぎに着陸し、いつフライト再開するかもわからぬまま、ラスベガス空港内で使えるランチ&ディナークーポン24ドルだけ渡されて放浪しました。

結局、現地時間21時ごろに再出発し、1時間ほどでLAに到着。

本来なら昼頃に到着して楽しんでいたはずなのに…LCCなので特に補償もなく、とても残念なスタートでした。

ちなみに、機内アナウンスが本当に聞き取りづらいので、自信がない人は恥を忍んで隣の人に聞きましょう。我々はそれで近くの女性たちにかなり助けられました。

復路

1時間遅れで離陸。

時差と気候

ニューヨークとの時差は3時間(NYが9:00amならLAは同日6:00am)。

旅行中の5日間をとおして毎日快晴か少し雲がかかる程度で、気温は15〜20度くらいでした。

朝晩は長袖1枚だと寒いので、終日出かけるなら羽織ものが必要です。

ちなみに妻は日中は薄手のニット1枚、夕方以降はウルトラライトダウンを着ていました。暑がりの人はそこまでいらないかも。

花粉はなかったのでマスク不要です😷

ホテル

トーランス(Torrance)というエリアにあるMiyako Hybrid Hotelという日本系のホテルに4泊しました。

1泊約3万円と、私たちにとっては高級なホテルでした。ちょっとした不満はありますが(スリッパが1人分しか用意されていない、アメニティが用意されたりされなかったりする日がある、ドライヤーとケトルが圧倒的に安物など)、全体としては大満足なホテルでした。

何より日本風のシャワーとバスタブ!

ホテルのお風呂

毎日狭いユニットバスを使っているストレスの反動で毎日湯船をためて浸かりました。

いい香りのバスソルトも置いてあります。最高です。奮発する価値あります。

ディズニー、ユニバまでそれぞれ車で30〜1時間ほど(渋滞状況による)、空港から20〜30分ほどの場所です。

治安

私たちが宿泊したトーランス(Torrance)というエリアは日本企業の支社が多くあり、日本人の駐在員やその家族も多く住んでいます。

そのせいか(?)とても落ち着いた雰囲気で、夜出歩いても安全でした。(もちろんエリアによりますので、十分注意してください)

日本食のおいしいレストランや大きなダイソーなどもあって、日本が恋しくなった留学生の皆さんにはトーランスは特にオススメです!

食事

ランチは観光先で食べ歩きなど。朝夕はホテル近くのカフェや日本食レストランに行きました。

特にこの3軒。

85°C Bakery Cafe - Torrance

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パンがどれも美味しくて滞在中3回も行きました。大体パン1つ3ドル前後。抹茶クリームのふわふわなパン(名前忘れた)が特に美味しかったです。

神楽

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1人20〜30ドルで日本と同じトンカツ定食が食べられます!

Zabon Ramen

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デフォルトで大きなチャーシューが入ったラーメン、ギョウザ、たこ焼きなどが食べられます。1人15〜20ドルくらい。アメリカでこんなに美味しいラーメンが食べられるなんて感動です。

移動

元々レンタカーの予定でしたが、初日のフライト遅延で受けとれず、キャンセルしてUber&Lyftでの移動に切り替えました。(地下鉄は治安最悪と聞いていたので一切使わず。人生経験としてはアリだったかも。)

金額的にはこんな感じ。

  • レンタカー5日間:約4万円+ガソリン代
  • Uber or Lyft:合計約7万円

当然レンタカーの方が安いんですが、ディズニーやユニバ帰りのヘロヘロ状態で運転する体力やリスクを考えると、UberLyftが結果的によかったかも。

ちなみにUberLyftを比べると、9割型Lyftの方が安かったので、Lyftの事前登録をおすすめします!

実際の支出

あくまで概算ですが、4泊5日のLA旅行は2人で$3,300くらいかかりました。1ドル150円として日本円に換算すると、国内旅行であるにも関わらず約50万円もしました。。

【支出(2人分)】1ドル=約150円

  • フライト(往復):$522(約78,000円)
  • ホテル(4泊):$873(約130,000円)
  • Disney California Adventure Park:$352(約52,800円)
  • Universal Studios Hollywood:$454(約68,100円)
  • Uber or Lift:$462(約70,000円)
  • 食費:およそ$300(約45,000円)
  • 空港までの交通費(Uber及びLiftを除く):およそ$60(約9,000円)
  • その他(お土産等):およそ$200(約30,000円)
  • 合計(概算):$3,300(495,000円)

観光スポット

最後に、実際に行った場所を簡単に紹介します。

詳しいところは色んなブログやサイトで解説してくれているのでここでは省略しますが、何か参考になれば!

Santa Monica

ビーチ沿いに遊園地やレストラン、お土産屋さんがならんでいます。

時々路上パフォーマンスがあったりと、散歩するだけでハッピーになれます!

ただ雨の日は魅力半減な気がしたので、天気によっては予定変更した方がいいかもしれません。

Disney California Adventure Park

LAのDisneyland ResortにはDisneyland ParkとDisney California Adventure Parkの2つがあるのですが、Disney California Adventure Parkの方にだけ行ってきました。

UberやLiftで行くなら以下で降りると良いです。

Disneyland Drop off(2つのパーク共通)(1567 Harbor Blvd, Anaheim, CA 92802)

maps.app.goo.gl

今回行ったアドベンチャーパークは、主にピクサーアベンジャーズ作品のアトラクションがあります。カーズ、ベイマックススパイダーマントランスフォーマーなど。

日本との違いは、とにかく待ち時間が短い!

時期もありますが、ほとんど30〜45分、一番長くて80分くらいでした。

アプリでマップや待ち時間のチェック、レストランのオーダーができるので必ず入れておきましょう。

Disneyland®

Disneyland®

  • Disney
  • 旅行
  • 無料

apps.apple.com

Universal Studios Hollywood

公式サイトや各種代理店などでオンラインチケットを買えますが、

「ExpressPass」つきのチケットを圧倒的におすすめします!!

少し高くなりますが、全てのアトラクション(一番人気のマリオカート除く。。)に1回ずつ優先的に案内されるパスです。

本当に一瞬で乗れて、1日でアトラクションほぼ全制覇できました。

UberLyftで行くなら以下で降りると良いです。

E.T. Parking Garage(1070 Universal Studios Blvd, North Hollywood, CA 91602)

maps.app.goo.gl

こちらもアプリでマップや待ち時間チェック、モバイルオーダーができます。

Universal Studios Hollywood™

Universal Studios Hollywood™

  • NBCUniversal Media, LLC
  • 旅行
  • 無料

apps.apple.com

ちなみにExpressPassは入口で紙が発行されますが、発行後アプリに登録することができるので、紛失対策としてもDLしておきましょう。

まとめ

気候が快適だったのもあり、サンタモニカ、ディズニー、ユニバどれも最高だったのですが、今回の旅行をさらにアップグレードしてくれたのは、なんといってもホテルと周辺のお店でした!

日本から旅行する場合、日本的なホテルや日本食はむしろ避けたいと考えてしまいますが、NYに住んでいる現在、とにかく日本のお風呂、定食、ラーメン、お菓子や雑貨が沁みました。

LA旅行をするならトーランス滞在はとってもおすすめです(今回行かなかったのですが、車で30分のところにリトルトーキョーというのもあるらしい)。

時間が許せば1週間は滞在したかった…。

これから行く方、楽しんでください!

ニューヨークの生活費

実際にニューヨークの生活費がどれくらいなのか、詳細をご説明します。なお、1ドル150円として計算します。

学費等

コロンビア大学のSIPA (School of International and Public Affairs)の場合、学費はその学期(秋学期(大体9〜12月)と春学期(大体1〜4月))まとめて支払う必要があるので、学期始めの負担が非常に重いです。学費だけではないものも含まれていますが、コロンビア大学に秋学期$37,660(¥5,649,000)、春学期$38,860(¥5,829,000)をそれぞれ9〜10月、1〜2月に支払う必要があります。SIPAの2年間のプログラムの場合、合計すると2年間で($37,660 + $38,860)×2=$153,040(¥22,956,000)ですね。。

家賃

私はInternational HouseというNPO法人が運営している寮に住んでおり、妻と2人で家賃$2,425(¥363,750)/月(2024年秋学期から$2,546(¥381,900)/月に値上がり)のStudio Apartmentに住んでいます。バスルームとキッチンは備え付けですが、洗濯機は寮の住人と共用で、洗濯1回$2.75(¥412.5)、乾燥1回$0.85(¥127.5)を毎週1、2回行っています。

なお、家賃の支払いは、コロンビア大学の学費等と同様に月々ではなくその学期(秋学期(およそ9〜12月)、春学期(およそ1〜4月)または夏休み(およそ5月〜8月))まとめてなので、9月、1月、5月にがつんと支払いが発生します。今年1月は、2024年1月3日から5月12日までの家賃として$11,480.76(¥1,722,114)を支払いました。

食費

I-House

I-Houseでは食堂を運営しており、入居者は強制的にDining Feeなるものを支払う必要があります。2024年1月3日から5月12日までの分として、私と妻で$1,638(¥245,700)でした。これは、支払った分だけ電子マネーとして食堂で使えます。

コロンビア大学

コロンビア大学にもDining Planなるものがあり、こちらは強制ではありませんが、コロンビア大学のキャンパス内にあるいくつかの食堂を利用できて便利なので、私は1学期分$1,781(¥267,150)(102食分+$125分のFlexコロンビア大学でのみ使える電子マネー))で購入しています(Dining Planの"Plan D")。

まとめ

学期単位で支払うものを、日々支払うものと合体させるのが難しかったので、以下のようなまとめ方でご容赦ください。こちらは2024年1月の例です。

学期単位で支払うもの(2024年1月の例)※ I-HouseのDining Feeは2人分

  • 学費等:$38,969(¥5,845,350)(2024年春学期)
  • 家賃:$11,480.76(¥1,722,114)(2024年1月3日から5月12日まで)
  • 食費(I-HouseのDining Fee):$1,638(¥245,700)(2024年1月3日から5月12日まで)
  • 食費(コロンビア大学のDining Plan):$1,781(¥267,150)(2024年春学期)

日々支払うもの(2024年1月の例)※2人分の概算

  • 洗濯:$30(¥4,500)
  • スマートフォン:$50(¥7,500)
  • 食材費:$427.66(¥64,149)(日本食を配達してくれるWeee!が便利です。)
  • 外食費:$217.45(¥32,617.5)(外食の場合、少なくとも1食1人$20-30はすると思ってください。)
  • 日用品:$104.11(¥15,616.5)
  • 娯楽:$18.99(¥2,848.5)
  • 交通費:$93.50(¥14,025)(ニューヨークの地下鉄は1回の利用で$2.90します。。)

(※)特に「娯楽」と「交通費」は月によって変動します。

2023年秋学期の1日のスケジュール

春休みに入ったので久しぶりのブログ更新です。今回は、コロンビア大学のSIPA (School of International and Public Affairs)の2023年秋学期がどのようなスケジュールだったのかご紹介します。

1日のスケジュール

履修したコースはたったの4つだったのですが、宿題がえげつないくらい課されるため、毎日朝早く起きて勉強をしていました。International House (I-House)というNPO法人が運営している寮に住んでおり、家賃はちょっと高いのですが、ジム、食堂や勉強スペースなどのアメニティが豊富で、立地もいい(SIPAの建物まで徒歩15分)のでおすすめです。コロンビア大学に限らず、ニューヨークにある大学に通っている学生が多く住んでいます。

月曜日

火曜日

水曜日

  • 7:00 起床
  • 8:00 勉強@I-House or 大学図書館
  • 11:00 ランチ
  • 12:00 勉強@I-House or 大学図書館
  • 17:00 ディナー
  • 18:10-20:00 Recitation of Politics of Policymaking: Developing Countries in Comparative Perspective
  • 20:30 シャワー(元気があれば勉強)
  • 23:00-24:00 就寝

木曜日

金曜日

  • 5:00 起床
  • 5:30 ジム@I-House
  • 7:00 勉強@I-House or 大学図書館
  • 11:00 ランチ
  • 12:00 勉強@I-House or 大学図書館
  • 18:00 ディナー + シャワー
  • 20:00 勉強@I-House or 大学図書館
  • 23:00-24:00 就寝

※1 Recitation:教授ではなくTAが運営する、その週に教授が教えた内容を復習するためのクラス。

※2 Meeting:2〜4人のグループで、ほぼ毎週課されるProblem Set(演習問題)を解くために行う。

※3 上記スケジュール以外にも、TAのOffice Hoursがある日は、TAのところに行ってわからない問題などを質問するため学校へ。

2023年秋学期の履修コース④ 〜English for International and Public Affairs〜

コロンビア大学のSIPA (School of International and Public Affairs)で、2023年秋学期に履修したコースの第四弾(最後)です。

今回は英語のWritingをひたすら練習するコースです。私はIELTSが7.5 点(L7.5, R8.0, W6.5, S7.0)だったのですが、Writingが6.5点と低かったので、SIPAへの入学要件としてこのコースを履修しなければなりませんでした。このコースはSIPAを特徴づけるものでもなんでもないので、第一〜三弾と比較して簡潔に説明します。

基本情報

  • コース名:English for International and Public Affairs
  • 単位数:3
  • 分類(※):Elective(MPA Core Curriculum, Policy Concentration, Specializationのいずれにも該当しないが、卒業要件である54単位には算定される。)
  • 講師:Carolyn Dunn
  • 評価方法:Class participation (10%), Short Written Assignments (15%), Midterm Exam (15%), Final Exam (15%), Literature review (15%), Explanatory essay (15%), Argumentative essay (15%)

(※)SIPAのカリキュラムについてはこちらの記事をご覧ください。

コース内容

授業料を追加で$60支払わなければなりませんでしたが、今期の履修したコースで最も実用的で役に立ちました。ほぼ毎回の授業前に長めの記事(全てアメリカの民主主義の後退に関わるもの)を読まされるので、負担はとても重かったですが、日本では中々習得するのが難しいWritingの基礎を叩き込まれる有難いコースでした。また、講師のCarolynが気さくな人で発言しやすい空気なのもよかったです。

4〜5つの論文をエビデンスに自分の主張を展開するLiterature Review、4〜5つの論文から引用したデータ等を活用して客観的に説明するExplanatory Essay、4〜5つの論文をエビデンスに、意見が割れるトピックについて自分の主張を展開するArgumentative Essayが重い課題でした。

おわりに

これにて2023年秋学期の履修コースについては以上です。正確にいうと単位数0.5のコースも履修したのですが、実質的には説明した4つのコースがメインでした。

明日から2024年春学期の授業が開始するのでしばらくこのブログは更新できませんが、引き続きアメリカ留学を目指している方々にとって有益な情報を提供できるように頑張ります。

2023年秋学期の履修コース③ 〜Quantitative Analysis I for International and Public Affairs〜

コロンビア大学のSIPA (School of International and Public Affairs)で、2023年秋学期に履修したコースの第三弾です。

今回は統計学です。政策とその政策効果に関係があるかどうかを分析することがこのコースの至上命題で、政策立案の観点からは最も重要なコースでした。

基本情報

  • コース名:Quantitative Analysis I for International and Public Affairs
  • 単位数:3
  • 分類(※1):MPA Core Curriculum
  • 講師:Doru Cojoc
  • 評価方法:Problem set and Quizzes (30%), Midterm Exam (30% or 40%), Final Exam (30% or 40%)(※2)

(※1)SIPAのカリキュラムについてはこちらの記事をご覧ください。

(※2)Midterm ExamかFinal Examの点数の高い方が40%、低い方が30%になります。

コース内容

講師のDoruの英語はとても早口で、どこの国かもわからないアクセントが入り混じるため、彼の言っていることは30%も理解できぬまま2023年秋学期が終了。。一方で、配布資料がよくまとまっていたため、予習復習をすることでコース内容をしっかりと理解することができました。

このコースでは、統計ソフトであるSTATAを使いながら、主に①Hypothesis Testingと②Ordinary Least Squares Regressionsを学びました。

Hypothesis Testing(仮説検定)

z-test(z検定)やt-test(t検定)なる検定方法を用い、ある政策等によってもたらされたと考えられる効果が統計的に有意か否かを検証します。「統計的に有意か否か」というのは、要は偶然ではなく、政策とその政策効果に関係があるかどうか、ということです。留意しなければならないのが、これはあくまで「関係があるかどうか」なので、因果関係があるかどうか、つまり政策効果にエビデンスがあるかどうかを検証しているものではないということです。そこで有用なのがRegression analysis(回帰分析)になります。

Ordinary Least Squares Regressions(最小二乗法)

Regression analysisにはいくつか種類があるのですが、このコースではOrdinary Least Squares (OLS)を学びました。かなり噛み砕いて説明すると、政策効果Yを政策Xとの線形関係(Y = β0 + β1X + ε)に落とし込み、直線だけで説明できない誤差εの二乗の和を最小にするようにβ0とβ1を推定する方法がOLSです。

STATAを使ったOLSにより、政策とその政策効果の因果関係を明らかにすることができます。来学期のQuantitative Analysis IIでは、Regression analysisをさらに深く学べるようなので、置いてかれないように頑張りたいと思います。

2023年秋学期の履修コース② 〜Microeconomic Analysis for International and Public Affairs〜

コロンビア大学のSIPA (School of International and Public Affairs)で、2023年秋学期に履修したコースの第二弾です。

今回はミクロ経済学です。アメリカの公共政策系の大学であれば、おそらくどこもそうだと思うのですが、政策立案に係る経済学及び統計学は非常に重要なコースになります。こちらの記事でご説明したとおり、だからこそ私も留学先としてアメリカを選びました。

基本情報

  • コース名:Microeconomic Analysis for International and Public Affairs
  • 単位数:3
  • 分類(※):MPA Core Curriculum
  • 講師:Emanuele Gerratana
  • 評価方法:Attendance (5%), Quizzes (5%), Problem sets (10%), Midterm exam (35%), Final exam (45%)

(※)SIPAのカリキュラムについてはこちらの記事をご覧ください。

コース内容

講師のEmanueleの英語がイタリアン過ぎて聞き取りづらい上に、学生を置いてけぼりにする形で深すぎる内容を説明するので、今季の一番難しいコースでした。コースの主な内容としては、①Welfare analysis、②Consumer theory、③Producer theory、④Non Competitive Markets、⑤Externalitiesが挙げられます。

Welfare analysis

ざっくりいうと、需要曲線と供給曲線を使って、①消費者、②供給者、③税や補助金などの政策を提供する政府などのWelfareを分析するというのがこのトピックの至上命題でした。Welfareとは、要は上記①〜③のステークホルダーたちの幸せレベル(←私なりに噛み砕いています)です。このWelfareを分析することで、政府の介入が市場にどのような影響を与えるのか、つまり消費者、供給者、政府の誰がより幸せになれるかを理論的に理解できるようになります。

Consumer theory

ある消費者のPreference(好み)とBudget(予算)の情報を使って、その消費者が実際にどのような商品を選ぶのか分析する理論です。なんとなーく消費者が商品を選んでいるとしか思っていなかった自分にとって、それを理論的に分析するこのトピックはとても面白かったです。

Producer theory

供給者がある商品を生産する際に、どれだけの収益を得ることができるか分析する理論です。収益=収入ーコストで計算するのですが、収入及びコストの関数を求めることから始めるため、企業が大体どのように収益を予想しているのか理解することができました。

Non Competitive Markets

このトピックを勉強するまでは、基本的にCompetitive Markets(競争市場)であることを前提に学んでいたのですが、Monopoly(独占)やOligopoly(寡占)が市場価格にどのような影響を与えるのかを検証します。ご存知のとおりMonopolyやOligopolyでは価格が上がるのですが、それを理論モデルに落とし込むことで価格の上昇幅を予想することができるようになりました。ちなみに、このような理論モデルに落とし込むこと等により、実際にU.S. Department of Justice and the Federal Trade Commissionは企業合併を規制しています。

Externalities

環境汚染などの外部からの影響をExternalityといいます。ExternalityであるCO2(二酸化炭素ガス)による地球温暖化防止のために設けられたCarbon Trading System(CO2発生量の限度量を超えていない国が他国にCO2発生の権利を売ることができるシステム)が、社会にとって効率的か否か分析しました。これまでCarbon Trading Systemの効率性がわからなかった私としては、目から鱗のこのトピックが一番好きでした。

2023年秋学期の履修コース① 〜Politics of Policymaking: Developing Countries in Comparative Perspective〜

今回から4回に分けて、コロンビア大学のSIPA (School of International and Public Affairs)で私が2023年秋学期に履修した4つのコースについて概要を説明します。第一志望かどうかはともかくとして、SIPAに興味のある方は、どんなコースがあるのかを事前に知っておくと出願にとても有利なので参考にしてください。

今回は政治学です。

基本情報

  • コース名:Politics of Policymaking: Developing Countries in Comparative Perspective
  • 単位数:4
  • 分類(※1):MPA Core Curriculum
  • 講師:Rumela Sen
  • 評価方法:Student participation (20%), Policy tools (30%), Op-Ed (20%), Policy Memo (30%)(※2)

(※1)SIPAのカリキュラムについてはこちらの記事をご覧ください。

(※2)Policy tools、Op-Ed、Policy Memoについては後述。

コース内容

主に発展途上国で起きている社会問題について、講義内のディスカッションや宿題の論文(①Policy tools、②Op-Ed、③Policy Memo)を通じてどのようなアプローチができるかを検証しました。全体的に広く浅く、という講義なので、深い学びはありませんでしたが、政治学を学んだことのない人間としては、新しい知識を吸収するという意味で割と好きな講義でした。

Policy Tool 

Policy Toolとは、社会問題を解決する際にPolicy Actor(政治家や官僚)がとる政治的手段のことです。例えば、政策とその政策効果の因果関係を解明するランダム化比較試験(Randomized Controlled Trial (RCT))がこれにあたります。課題の論文では、RCTを含むPolicy Toolがどのような問題点を含有しているか、どのように活用すべきかなどを論じました。

Op-Ed

Op-Edとは、通常、新聞社の影響下にない外部の人間が、ある社会問題に対して自分自身の意見や見解を述べる論文です。自分でトピックを選べるので、私は精通している教育政策について書くことにして、"How to Approach Evidence in the Process of Making Education Policies in Japan"(日本の教育政策の立案過程においてどのようにエビデンスに迫るか)という題で論文を書きました。

Policy Memo

Policy Memoとは、ある社会課題を解決するための政策を提案するための文書です。そのため、①どの都市で②どのような問題があって③どのように提案する政策で解決するのか具体的に述べる必要があります。この課題でもOp-Edと同様に自分でトピックを選ぶことができましたが、せっかくニューヨークに住んでいるので、この都市で今一番問題化している移民問題に係る政策提言をしました。3,000文字くらい書く必要があったので骨が折れましたが、新しい知見を得るとてもよい機会だったと思っています。