アメリカ留学体験記 in NYC

Nagaです。コロンビア大学国際公共政策大学院で2023年9月から学生をしています。

大学への出願準備② 〜レジュメの作成〜

アメリカの大学へ出願するにはレジュメ(Resume)が必要になります。就活みたいですね。各大学への出願に使いまわせるよう、レジュメにはできる限り多くの内容を書き込んだ方がいいと思いますが、多くても3ページには収めるようにしましょう。

いつからレジュメを作成し始めればいいの?

ここで全体のスケジュールを確認してみましょう。2025年9月入学を目標にしている方の場合、大体2024年の9〜10月頃に大学のHPが更新されますが、レジュメを含めほとんどの出願書類はHPの更新を待たずに作成し始めてください。なぜなら、HPの更新後にゼロから書類作成をすると「時間が足りない」ということになりかねません。この段階では、出願に必要な書類の情報を、更新前のHPから入手するようにしてください。

どんなことをレジュメに書けばいいの?

細かいレジュメのフォーマットは各大学のHPを参照していただければと思いますが、大体は①Education(学歴)、②Employment(職歴)、③Volunteer Work(ボランティア)、④Skills(スキル)という構成です。一方で、何をどこまで具体的に書けばいいかは決まっていないので、自分が大学側へインプットしたいこと、例えば

  • 大学での成績や表彰
  • 職場での実績

などを盛り込むようにしましょう。

とはいえ、具体例がないとイメージしにくいと思うので、こちらの書籍「大学院留学のすべて 入学後絶対後悔しないための10のステップ」や他のサイトでサンプルを参照してみてください。

レジュメって1つだけ書けばいいんだよね?

特にアイビーリーグでそうなのですが、上記レジュメとは別に、Quantitative Resumeなるものを要求されることがあります。コロンビア大学のSIPA (School of International and Public Affairs)では必要でした。簡単に言うと、大学側が出願者の数学的能力を確認するためのものです。内容としては、

  • 大学における数学・経済学・統計学等の受講歴
  • 職場における数学・経済学・統計学等を活用した経歴

で構成されます。つまり、自分が大学でどんなことを学んだか掘り起こさないとならないため、中々面倒なレジュメになります。母校のHPから検索したり、もしくは母校に訪れるなどして必要な情報を入手しましょう。

なお、おそらくQuantitative Resumeに対するモチベーションが下がってしまいますが、こういった数学的能力が全くないままSIPAに入学している人は結構いました。そのため、このレジュメに多くの時間を割く必要はないかもしれません。

大学への出願準備① 〜成績証明書等の入手〜

自分が作業時間をコントロールできるものではないので、早めにやって安心しておきたいのが、母校の大学の成績証明書等の入手です。全体のスケジュールはこちらをご確認ください。

どうやって成績証明書等を入手するの?

まずは母校の大学のHPを見て、どのような手続きが必要か確認しましょう。ここでいう成績証明書等は、①卒業証明書(Certificate)と②成績証明書(Transcript)のことです。日本語版と英語版が必要になるので、両方を入手するよう母校の大学と調整してください。

成績証明書等はどうやって出願先の大学へ提出するの?

大学へ国際郵便で送付しなければならない例もあるようですが、私が出願した全ての大学は、スキャンしたものを出願時にアップロードすればそれでOKでした。この際に一緒にアップロードしておきたいのが、WES (World Education Services)に評価してもらった成績証明書です。

WESって何なの?

WESは、簡単にいうとアメリカの大学が海外からの出願者の成績証明書を審査しやすいようにするため、新たに成績証明書をアメリカ基準で発行してくれる信用評価機関です。信用評価機関はWES以外にもあるようですが、WESであればほぼ100%問題ありません。

なお、日本の大学の成績証明書をWESに評価してもらうと、GPAが十中八九上がります。私の大したことないGPAもWESのおかげで見栄えがよくなりました。

手続きの流れは以下のとおりです。手痛い出費ですが、基本的にどこの大学も出願時、もしくは合格通知を出した後に信用評価機関からの成績証明書を要求しますので、しぶしぶ払わざるを得ないですね。

【WES申請の流れ】

  • 公式HPから申込み
  • 手数料は$205(2022年3月時点)
  • 国際郵便で母校の大学の成績証明書をWESへ送付
  • 3〜4週間で評価完了

試験勉強 〜英語テストとGRE〜

アメリカで大学院留学をするにあたって、ほとんどの人が受けなければならない試験は

  • ①英語テスト(TOEFLまたはIELTS)
  • GRE(人によってはGMAT)

の2つです。

まず初めに申し上げておきますが、他の方々よりも有益な情報を提供できる自信がないため、私のブログでは勉強方法の解説はしません、すみません。その代わり、皆さんが追い込みをかけるほど勉強する前に、覚えていただきたいことをまとめました。

①英語テスト

TOEFLだけ勉強すればいいの?

アメリカ留学のための英語テストと聞くと、真っ先に思い浮かべるのがTOEFLかと思います。しかしながら、TOEFLだけを集中して勉強する前に、IELTSという選択肢も考えてください。TOEFLとIELTSの細かい違いについては他の解説サイトに譲りますが、私が感じた大きな違いは

  • リスニング:聴きながら解答できるか否か
  • スピーキング:人と会話するのかコンピュータに一方的に話すのか

の2つだと思っています。IELTSでは、リスニングは聴きながら解答でき、スピーキングは面接官みたいな人と会話するので、私は圧倒的にIELTSの方が好きでした。人によってはそうではない方が好きという方もいると思うので、私がオススメするのはTOEFLもIELTSも並行して受験することです。

TOEFLもIELTSも勉強するなんて時間的に無理じゃない?

TOEFLとIELTSの二刀流をするからといって、英語の勉強時間を増やす必要は全くありません。勉強してるのは同じ英語、しかも同じ技能(Reading, Listening, Speaking, Writing)なんですから。ちょっと勉強すればそれぞれの英語テストの形式はすぐ慣れます(←あくまで「形式」の話です)。

実際、私はずっとTOEFLを勉強していたのですが、2022年2月頃からIELTSを勉強し始め、2022年3月は9.0点中6.5点でしたが、同年8月には7.5点のスコアを取得しました。その間も、2022年5月まではTOEFLを受験し続けていました。なお、トップ大学の足切りスコアは大体TOEFL100点、IELTS7.0点です。

IELTSはイギリス発祥の英語テストなのにアメリカの大学の出願に使えるの?

基本的にアメリカのどこの大学でもIELTSは出願時の英語力スコアとして使えます。しかしながら、IELTSのスコアが使えない大学も少しだけ存在しますので、出願予定の大学がIELTSを採用しているのか確認するようにしましょう。

GRE

GREは以下の3つのセクションに分かれており、QuantitativeとVerbalの満点が170点、Analytical Writingの満点が6点となっています。

  • Quantitative(数学)
  • Verbal(英語)
  • Analytical Writing(ライティング)

日本で一般的な教育を受けた海外在住経験なしの人からすると、

  • Quantitative:そんなに難しくない
  • Verbal:激ムズ
  • Analytical Writing:ハイスコアをとるのは難しい

という印象になると思います。

このペラペラの内容で私からできるGREの説明はほとんど終わりなのですが、一言だけ付け加えると、GREのこれら3つのセクションで試される技能は、全て大学生活で必須になります。少なくともコロンビア大学のSIPA (School of International and Public Affairs)ではそうです。そのため、「ただのテスト勉強」と考えず、「大学生活で役立つ能力を磨く」というモチベーションでGREを勉強していただければと思います。

大学の決め方② 〜大学のリサーチ方法〜

留学経験のない人が、まず初めにぶち当たる壁は大学のリサーチだと思います。かくいう私もそうでした。

自分の勉強したいことが固まったら(←大学リサーチを経て具体的になる場合もあるので、この段階で完全に固める必要はないと思います)、どこの大学(=その大学のスクール)でならその内容を勉強できるかリサーチしましょう。その手順についてご説明します。

Step 1. ランキングのリサーチ

前回の記事でご説明したとおり、研究分野によってトップ大学は変わります。他にもソースはありますが、まずはU.S. News & World Reportで研究分野ごとのランキングを確認してください。そして、それぞれの大学のHPに行き、そこからその研究分野に係るプログラムを提供しているスクールのHPに行きましょう。

Step 2. プログラムのリサーチ

スクールのHPに行ったら、そのスクールがどのようなプログラムを提供しているのかリサーチしましょう。こちらの記事でご説明したとおり、コロンビア大学のSIPA (School of International and Public Affairs)のように、同じMaster's degreeでも、いくつもプログラムを提供している場合があります。

Step 3. カリキュラムのリサーチ

どのようなプログラムがあるか把握し、自分にぴったりなプログラムを見つけたら、実際にどのようなコースが提供されているか把握しましょう。つまり、カリキュラムをリサーチするということです。SIPAの場合、こちらのHPからMPA (Master of Public Administration)のカリキュラムを確認できます。SIPAのHPはわかりやすいので、在学している今でもよく上記HPは参照しています。

Step 4. 研究内容のリサーチ

このStepをできるかできないかで、合格・不合格の確率が格段に変わります。自分の勉強したい研究分野の研究内容(もしくはその大学の教授)を、本(もしくはそれに類似する情報量を持つソース)でリサーチしましょう。これには少なくとも1〜2月はかかりますが、ここで学んだ内容を出願時のエッセイに反映させることで、ライバルたちに大きな差をつけられます。

実際、私は4大学に出願して2大学合格、1大学補欠合格、1大学不合格だったのですが、合格した2大学とも、それぞれの研究内容に関する本を1冊以上読んでいました。その他の2大学については、当時第一志望だった大学の合格通知が2022年11月に来た後にアプライしたので(※)、リサーチもろくにしてなければエッセイもほぼ片手間で完成させました。

(※)今後このブログで説明しますが、Early Applyという方法をとれば、通常よりも数ヶ月早く合格・不合格がわかります。SIPAもEarly Applyだったので、12月に合格通知が来ました。

まとめ

手順をまとめると以下のとおりです。特にStep 4は時間がかかるので、早め早めの準備をオススメします。

  • Step 1. ランキングのリサーチ
  • Step 2. プログラムのリサーチ
  • Step 3. カリキュラムのリサーチ
  • Step 4. 研究内容のリサーチ

 

大学の決め方① 〜「大学」ではなく「スクール」を決める〜

アメリカ留学にあたって、当たり前といえば当たり前ですが大学決めが最も重要です。一方で、留学経験のない人からすると、どう大学を調べればいいかもわからないので、留学における第一関門といっても過言ではありません。まずは、どうやって大学を決めるのか説明します。

どうやってアメリカの大学を決めればいいの?

結論から申し上げると、「自分が何を勉強したいか」で大学を決めてください。日本では No.1の大学=東京大学と考えられる方が大半で(←私も例外ではありません)、大学がどんな強みを持っているか意識する人は少ないと思いますが、アメリカ留学において大学を選ぶ際はその考え方は捨ててください。

例えば、私が出願前にリサーチしたU.S. News & World Reportでいうと、Public Policy Analysis Programs部門では、1位UC Berkeley、2位University of Michigan、3位Harvard University(2023年時点)になっています。日本ではHarvardが一番有名だと思いますが、アメリカではNo.1の大学=Harvardではなく、何の勉強を主眼に置くかでNo.1の大学が変わってきますので、大学を決める上で意識してください。その上で、自分の勉強したい内容を提供している大学の「スクール」を決める必要があります。

アメリカの大学でよく聞く「スクール」って何?

ここでスクール(School)という言葉をさらっと解説します。各大学にはMaster's dgreeやPh.D.のプログラムを提供するスクールがあります。例えば、よく聞くビジネススクールやメディカルスクールがここでいうスクールにあたります。私でいうと、大学がコロンビア大学、スクールがSIPA (School of International and Public Affairs)、プログラムがMaster of Public Administration (MPA)ということですね。各大学のスクールは独自のHPを持っていますので、そこからプログラム内容、つまりそのスクールで勉強できることをリサーチするようにしましょう。

「スクール」が違うと学ぶ内容も入学難易度も違うの?

出願時の学生の選抜にあたっては、各大学のスクールが独自に選考していることがほとんどなので、同じ大学でもスクールによって学ぶ内容はもちろん難易度も全然違ってきます。つまり、勉強の内容はどちらでもよく、ただ日本での就職活動等を有利にして、ドメスティックにキャリアアップしたいという想いの方であれば、日本でよく聞く有名大学の入りやすいスクールを選ぶことをオススメします。

渡航までのスケジュール

留学をするにあたって、真っ先にやるべきはスケジュールの確認です。正解はありませんが、2025年9月入学を目標にする場合、以下のようなスケジュール感(あくまで大枠)が理想なのかなと思います。「これだけじゃ何すればいいかわからないよ」と思われる方が大半だと思いますが、それぞれの内容についてはこの記事と分けて追って説明させてください。

なお、英語の勉強開始時期は人によってばらつきがあるため、このスケジュールにはあえて示していません。

渡航までのスケジュール(2025年9月入学の場合)

2024年

1〜2月 大学決め(各大学の公式HPで昨年の出願締切等を確認)

3月 GRE勉強スタート

4月 ①推薦状の依頼、②母校の大学の成績証明書等の入手

5月 レジュメ作成スタート

6月 エッセイ作成スタート

7月 推薦状の下書き作成スタート

8月 英語テスト(TOEFL or IELTS)の目標点達成

9月 各大学の公式HPで必要書類(レジュメ、エッセイ、推薦状等)を確認

10月 GREの目標点達成

11〜12月 大学への出願(※1)

2025年

1〜3月 合格発表(※2)

4〜6月 家探し、送金元の銀行口座開設

6月 Visa申請

7月 国際運転免許証の取得

8月 渡航

9月 入学

(※1)Early Applyの場合は大体10〜11月

(※2)Early Applyの場合は大体11〜12月

国際公共政策大学院(School of International and Public Affairs)とは?③ 〜SIPAのカリキュラム〜

SIPAの中庭

アメリカ留学といっても、Bachelor's degreeをとるのかMaster's degreeをとるのかPh.D.をとるのかで全然違います。私の場合はMaster's degree(2年間のプログラム)になります。大学のカリキュラムを調べるにあたっては、まずはその大学のプログラムを確認しましょう。

SIPAのプログラムってどんなのがあるの?

コロンビア大学のSIPA (School of International and Public Affairs)はMaster's degreeやPh.D.などのプログラムを提供しています。Master's degreeのプログラムでいうと、私の場合はMaster of Public Administration (MPA)ですが、Master of International Affairs (MIA)など他にもプログラムが提供されており、2年間ではなく1年未満のプログラムもあります。

どうすれば卒業できるの?

SIPAのMPAは全部で4つの学期があり、この4学期のうちに 卒業要件である54単位を取得する必要があります。1つのコースにつき3単位がメジャーです。

SIPAのコースはどうやって選ぶの?

これはSIPAのカリキュラムの特徴的なところですが、単位を取得するコースは大きく分けて以下の3種類があり、全3種類から指定された数のコースを選択する必要があります。

- MPA Core Curriculum

- Policy Concentration

- Specialization

簡単にいうと、

  • MPA Core Curriculumはどこの大学でもよくある必須コース
  • Policy Concentrationは主専攻
  • Specializationは副専攻

みたいなものと思っていただければ結構です。私の場合、データ分析スキルを土台にした上で国際経済を学びたいと思っているので、MPA Core Curriculumから指定のコースを選択した上で、

  • Policy Concentration: International Finance and Economic Policy Curriculum (IFEP)
  • Specialization: Data Analytics & Quantitative Analysis (DAQA)

からコースを選択し、MPAを取得する予定です。

ちなみに、Policy ConcentrationもSpecializationも学期中に変更できますので、出願時によくわからないまま決めてしまったとしても特に問題はありません。